| 生き生きと活動するために |
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| 「安全文化」を死語にするな ー黒田 勲氏のことばよりー |
| “事故の現場は凄惨である。どうしてこんな事故が起きたのか” これは元日本ヒューマンファクター研究所所長・黒田 勲氏の言葉である。 そして更に続く “いつの間にか私には,事故が他人事ではなく,第一人称で考えるような思い入れができてしまった。形式的な納得のいかない事故調査をして,原因はヒューマンエラーであったと冷たく,他人事のように決め付けるのをみると無性に腹が立ってくる”(7年前の氏の著書から)。重く心に響く言葉である。 当時,氏の存在が非常に頼もしく心強く思った。 そして「安全文化」という言葉が使われだし,官民一体の流れができてくるのを期待した。ところがどうであろう,たまに活字を見る位で「安全文化」の文字は,今や“死語”になりつつある。 安全指導はほとんど行政指導でやってきた。 我々民間もあらん限りの努力を払いながら安全な環境創りをしてきたと思うが“指導”の主力はやはり行政機関である。当然のことだが,だからこそ行政は“ゼロ災害”を目指すために「安全文化の理念」の推し進める活動展開を更に強くしてほしいと思っている。 期待した活動が尻切れトンボになり死語になりつつあるのは真に残念である。「安全文化」の4文字には“安全の哲学・心”その魂が満ちているのである。 新しい法規則とともに“言葉”も次々と新しくぬり替えられ“混乱”を生み出している。例えば,いま盛んに指導されている「リスクアセスメント」がそれ。以前に言われていた,「セーフティアセスメント」とどう違うのか,「OSHMSとCOHSMS」,「KYKとKYT」,「職長教育」でも同じ内容の講習を何度もしているが,混乱するばかりである。あえて違いの説明は出来るであろうが,たいした違いはほとんど無い。 表看板が違っても同じ内容を何度もきかせられると受講に熱が入らなくなってしまう。 それでも “社命” だからと時間だけを費やして“形だけの資格終了証”を取得する輩(やから)がけっこういるのである。時間と費用の無駄にも繋がっている。 これでは,人命を預かる“安全の有資格者”とは言えないし“ゼロ災を目指す魂”が生まれ,育まれるとはとうてい思えない。“看板替え”の指導より,理解しやすい繰り返しの指導と「安全文化」の哲学を育む教育指導が必要ではないだろうか。 日本は経済大国と言われるようになったが,素晴らしい文化が礎にある“心”の教育が忘れ去られていると,誰もが言うようになった。それは“日本文化の危機”を言い表している。多発する忌まわしい事件,事故をみればうなずけると思う。 そもそも「安全文化」とは何か,目的,意義は何なのか。 調べると「安全文化」という言葉が使われだしたのはなんと20年前,1986年の旧ソ連時代に起こったチェルノブイリ原子力発電所の爆発火災事故の直後に開催された「国際原子力安全諮問委員会(INSAG)」という国際会議からであるといわれている(黒田氏の著書)。 |
| 全世界に大きな衝撃を与えたこのような大事故を防止するためには,どのような安全対策が必要かという議論の結果,「安全文化の高揚」が最も重要であると結論付けられた。そして2000年までのこの会議は11回にわたり開催されている。 安全文化とは「組織の安全の問題が,何ものにも勝る優先度を持ち,その重要度を組織及び個人がしっかりと認識し,それを起点とした思考,行動を組織と個人が恒常的に,しかも自然に取ることの出来る行動様式の体系である。」と,1991年の国際会議で定義されている。ほかにも学者達がいろいろと定義しているが,具体的ではない。(黒田 勲氏の著書より) 黒田氏が「安全文化」の要因として挙げているものをまとめてみよう。 1)トップが安全哲学をもち,社会倫理をふまえて行動につながる強いリーダーシップを発揮す る。(哲学の文化) 2)目的に向かって人間環境,作業環境を創りだす。積極的改善と提案があり,自立度の高い創意工夫が必要。管理者の協力と関係者の結束が必要。 3)安全に関する責任所在の明確化。各階層(特に管理者層),特に総務,営業の安全意識の向上,自覚を高めること。(正義の文化) 4)「報連相」の習慣付けを目指す。日本に昔から根ざしている“あいまいさ”を取り除く。 (情報の文化) 5)的確な手順の作成と厳守−Policies(ポリシー),Purpose(目的),Procedures(手順),Practices(実施)の4Pが明確なことと,その厳守が大切。(学習の文化) 6)安全活動に対する厳格な内部監査。昨今は社会の企業に対する要望が,企業の存在・存続に関連する厳しさがあることを認識するべきである。(自律の文化) 7)エラーを率直に報告できる雰囲気作り(報告の文化)。安全文化の基本要件である。 8)報告を受け入れ,予防安全に生かす,ひらかれた組織姿勢。(柔軟性の文化) *発生したエラーは,個人の問題として非難の対象とする傾向があるが,断じてそのような雰囲気を作ってはならない。企業が真剣に取り組むことが必要である。この姿勢が企業の安全のポリシーであることを各個人に浸透させることが大切。 黒田 勲氏の「安全文化」定義:『80余年の与えられた人生を謳歌するために,自分の安全は自分で守ること,その意識を育むこと,それが「安全文化」である。』 *その為に努める四つの心 @日々感謝を忘れない心 Aおもいやりと協力する心 B学ぶことと伝える心 C家族を大切にする心 *すべて“一人称思考”を根付かせること,“他人事意識”を捨て去ることが大切である。 |
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